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〇×ゲームの全255,168局を数えた
先手勝率51.41%と、後手が負ける「返し手」の正体

2026.08.30 | ボドゲ広場

「〇×ゲームはどうやっても引き分けになる」——これは半分だけ正しい話です。両者が最善を尽くせば確かに引き分けですが、実際に起こりうる対局をすべて並べると先手が51.41%勝ち、後手が勝つのは30.53%、引き分けは18.06%しかありません。この記事では〇×で起こりうる全対局255,168通りをコンピュータで展開し、勝敗の内訳・初手の位置別成績・何手目のミスが致命傷になるのかを厳密に集計した結果を公開します。「初手は中央が最強」という定説が、相手のレベル次第でひっくり返ることも数字で示します。

この記事の内容

  1. 全対局255,168局の内訳
  2. 何手で決着するのか
  3. 初手はどこに置くのが得か
  4. 後手が助かる返し手はいくつあるか
  5. 何手目のミスが致命傷になるか
  6. 相手がミスする前提なら「角」が最強
  7. 実戦での使いどころ
  8. よくある質問

全対局255,168局の内訳

まず前提の整理です。〇×の盤面は9マスなので、単純に考えると 9! = 362,880 通りの打ち順があります。ただし実際には3つ並んだ時点でゲームが終わるため、そこから先の手は存在しません。決着まで打ち切った「対局」として数えると、全部で255,168通りになります。

この255,168局を1局ずつ最後まで展開して勝敗を集計した結果が以下です。

結果局数割合
先手(〇)の勝ち131,184局51.41%
後手(×)の勝ち77,904局30.53%
引き分け46,080局18.06%
合計255,168局100%

先手の勝ちは後手の約1.68倍あります。これは「先手が強いから」というより、先に5手打てるからです。9マスを交互に埋めると先手が5個、後手が4個。3つ並べる機会そのものが先手のほうが多い構造になっています。

よくある誤解

この51.41%は「両者がでたらめに打った場合の勝率」ではありません。あくまで「起こりうる対局を1局1通りとして数えたときの割合」です。実際にランダムに打ち合った場合の勝率は後述しますが、少し違う数字になります。

何手で決着するのか

次に、対局が何手目で終わったかの内訳です。最短は先手が5手目(自分の3手目)で3つ並べるケース、最長は9マス全部埋まるケースです。

5手1,440局
6手5,328局
7手47,952局
8手72,576局
9手127,872局

全体の半分(50.1%)は9手目まで、つまり盤面が全部埋まるまでもつれます。逆に5手決着(先手の3手目で一気に決まる、いわゆる瞬殺)は1,440局、全体の0.56%しかありません。〇×が「すぐ終わるゲーム」に見えて意外と粘るのは、この分布のためです。

9手目まで行っても引き分けとは限らない

9手目まで進んだ127,872局のうち、引き分けは46,080局。残りの81,792局は最後の1手で先手が勝っています(9手目を打つのは先手なので、9手決着なら必ず先手勝ち)。「最後まで埋まった=引き分け」ではありません。

初手はどこに置くのが得か

〇×の定石といえば「初手は中央」です。これを数字で確かめました。初手の位置ごとに、そこから始まる全対局の勝敗を集計しています。

初手の位置対局数先手勝ち後手勝ち引き分け
中央(1マス)25,872局60.48%21.71%17.81%
角(4マス)110,928局52.83%28.47%18.69%
辺(4マス)118,368局48.09%34.39%17.52%

定説どおり中央が最も強く、辺が最も弱いという結果になりました。中央スタートと辺スタートでは先手の勝率に12.39ポイントもの差があります。

理由は中央マスが通る「3つ並びのライン」の数です。中央は縦・横・斜め2本の合計4ラインに関わりますが、角は3ライン、辺は2ラインしかありません。

中央 … 縦1・横1・斜め2 = 4ライン 角  … 縦1・横1・斜め1 = 3ライン 辺  … 縦1・横1    = 2ライン

後手が助かる返し手はいくつあるか

ここからが本題です。両者が最善を尽くせば〇×は必ず引き分けになります。これは全局面をさかのぼって計算した結果で、間違いありません。

ただし「最善を尽くせば」の条件は、後手にとってかなり厳しいものです。先手の初手に対して、後手が引き分けに持ち込める返し手が8通り中いくつあるかを数えました。

先手の初手助かる返し手負け確定の返し手
中央4通り(四隅すべて)4通り(辺すべて)
1通り(中央のみ)7通り
4通り(両隣の角・中央・対辺)4通り

先手が角に置いた場合、後手が助かる手は「中央」ただ1つです。残り7通りはすべて、そこから先手が最善を尽くせば後手の負けが確定します。8分の7が地雷という状況で、しかも初心者は「取られた角の反対の角」を取りがちです。それは負ける7通りに含まれています。

実戦で最も価値がある知識はこれ

相手が角に置いたら、絶対に中央を取る。〇×で覚えるべき知識を1つだけ選ぶなら間違いなくこれです。中央さえ押さえれば引き分けに持ち込めますが、それ以外を選んだ瞬間に理論上は負けが確定します。

逆に先手が中央に置いた場合、後手は四隅のどれを取っても助かります。辺を取ると負けます。こちらは「角を取る」と覚えれば済むので、対処はずっと簡単です。

何手目のミスが致命傷になるか

「どの手番でミスしやすいか」を調べるため、各手番で選べる手のうち形勢を悪化させる手(悪手)がどれくらいの割合を占めるかを全局面について数えました。

手番選択肢の総数悪手の割合うち勝ち/引分から負けに転落
1手目90.0%0.0%
2手目7266.7%66.7%
3手目50446.8%19.8%
4手目1,51254.0%51.9%
5手目3,78051.0%38.1%
6手目4,56044.6%40.0%
7手目4,11642.5%32.0%
8手目1,39235.6%29.3%
9手目2220.0%0.0%

読み取れることが3つあります。

① 1手目に悪手は存在しない

初手はどこに置いても、後手が最善を尽くせば引き分けです。中央・角・辺のどれを選んでも理論上の結果は変わりません。前章の「中央が強い」は、あくまで相手がミスしたときに勝ちやすいという意味です。

② 最も危険なのは2手目(後手の初手)

後手の第一手は、選択肢の3分の2が即座に負けに直結します。しかも悪手はすべて「引き分けから負けへの転落」で、取り返しがつきません。〇×で後手が負けるとき、その敗因は圧倒的にここです。

③ 4手目も落とし穴

後手の2手目(通算4手目)は悪手率54.0%、うち51.9%が致命傷です。2手目を正しく乗り切っても、その次でまた半分の確率で負ける——後手が引き分けにたどり着くのは、思っている以上に難しいことが分かります。

相手がミスする前提なら「角」が最強

ここまでは「相手も最善を尽くす」前提の話でした。しかし実戦の相手、とくに慣れていない相手は最善を打ってきません。そこで自分は最善を打ち、相手は空いているマスからランダムに選ぶという条件で、初手ごとの勝率を計算しました。

先手の初手勝ち引き分け負け
99.48%0.52%0%
中央98.96%1.04%0%
98.70%1.30%0%

ここで定説がひっくり返ります。相手がミスをする前提だと、初手は中央より角のほうが勝ちやすいのです。

理由は前章の表そのものです。中央に置くと後手には助かる手が4通りありますが、角に置けば助かる手は中央の1通りだけ。適当に打つ相手が正解を踏む確率は、中央スタートなら8分の4(50%)、角スタートなら8分の1(12.5%)。罠を仕掛けるという意味では角のほうが優秀ということになります。

覚え方

強い相手には中央、弱い相手には角。どちらを選んでも理論上は引き分けなので損はしません。相手のレベルを見て使い分けるのが、〇×という「引き分けのゲーム」で勝ちを拾う唯一の方法です。

ちなみに両者が完全にランダムに打った場合は、先手勝ち58.49%・引き分け12.70%・後手勝ち28.81%になります。全対局を1局ずつ数えた51.41%より先手の勝率が高いのは、短い手数で決着する対局ほど実際に起こりやすいためです(手数が短い対局は、その後の分岐を持たない代わりに1本道として実現しやすい)。

実戦での使いどころ

ここまでの数字を、実戦で使える形に落とすと3行になります。

  1. 後手のとき、相手が角に置いたら必ず中央を取る(それ以外は理論上すべて負け)
  2. 後手のとき、相手が中央に置いたら四隅のどれかを取る(辺を取ると負ける)
  3. 先手のとき、相手が弱いと思ったら角から始める(相手が正解を踏む確率が50%→12.5%に下がる)

この3つを守るだけで、〇×で負けることはほぼなくなります。逆に言えば〇×の勝負は実質的に最初の2手で終わっているということでもあります。

より実戦的な「相手のミスを誘う置き方」や「ダブルリーチの作り方」については、〇×ゲームの必勝法と勝てないときの考え方で解説しています。

よくある質問

255,168通りという数字はどう数えたのですか?

空いているマスすべてに順番に置いていく処理を、決着(3つ並ぶ、または9マス埋まる)まで再帰的に展開して数えました。3つ並んだ時点で打ち切るため、9マス全部を並べる 9! = 362,880 通りより少なくなります。この255,168という値は〇×の完全解析として古くから知られている値と一致しており、集計プログラムが正しく動いていることの裏づけになっています。

「先手勝率51.41%」は実際に打ったときの勝率ですか?

違います。これは起こりうる対局を1局1通りとして数えたときの割合です。実際にお互いランダムに打つと先手勝ち58.49%になり、お互い最善を打てば100%引き分けになります。3つとも正しい数字ですが、意味がまったく違うので混同しないでください。

後手に勝ち目はないのですか?

先手がミスをすれば勝てます。全対局のうち後手勝ちは30.53%(77,904局)あり、決して珍しくありません。ただし後手が自分から勝ちにいく手は存在しないのも事実です。後手にできるのは「正しく守って、相手のミスを待つ」ことだけです。

3×3ではなく4×4や5×5ならどうなりますか?

4×4以上で「4つ並べたら勝ち」にすると、盤面が広がって引き分けが激増します。3×3という盤面サイズは、先手有利と引き分けやすさがぎりぎり釣り合う絶妙なサイズだといえます。より広い盤面での並べ系ゲームの性質については五目並べの勝ち方もあわせてどうぞ。

CPUと対戦しても勝てないのはなぜですか?

この記事の計算どおり、〇×は最善を打つ相手には絶対に勝てないゲームだからです。全局面の評価値が計算し尽くせるサイズなので、コンピュータは常に最善を選べます。引き分けに持ち込めたなら、それが最高の結果です。

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AUTHOR

ねこまる

ボードゲーム歴10年以上の個人開発者。ブラウザで誰でも気軽に遊べるゲームを作りたくてボドゲ広場を開設。この記事の数値は、〇×の全対局を展開する解析プログラムを自分で書いて集計したものです。合計局数などの既知の値と照合して検算しています。

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